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【現地レポート③】男女準決勝 総評 – 男女ファイナリスト決まる –

「第95回天皇杯・第86回皇后杯 全日本バスケットボール選手権大会」のファイナルラウンドは 3 日目を終え、天皇杯、皇后杯のファイナリストがそれぞれ決まった。

【皇后杯】
○ デンソーアイリス (75-61 三菱電機コアラーズ)

 3 ポイントシュートを 3 本決めて、2 年ぶりの決勝戦進出に貢献したデンソーのシューター、篠原華実は決勝戦もアウトサイドシュートを決めることが大事だと言う。
「皇后杯に限らないことですけど、ウチに対してはどのチームもインサイドを守ってきます。だからこそ 3 ポイントシュートというか、アウトサイドのシュートを決めないと勝てないこともわかっています。明日も今日のように思い切りよく打って、決めることがすごく大事になってくると思います」

 しかし相手はディフェンス力の高いJX-ENEOSサンフラワーズである。そう簡単にはシュートを打たせてくれないだろう。自分のすべきことがアウトサイドシュートだけではないことも、篠原は理解している。
「相手にはリバウンドに強い、高さのある選手がいます。ウチのセンター陣が相手のビッグマンをボックスアウトで抑えてくれるので、私たちアウトサイドの選手がリバウンドを取らなければいけません。もし一発で取れなくても、弾いたボールがこぼれてくるので、それを取りきれるかどうかがすごく大事になってくると思います」
 髙田真希、赤穂さくら、そして赤穂ひまわり。日本代表にも名を連ねる核となる選手がいるデンソーだが、女王・JX-ENEOSを倒すためには篠原ら、脇を固める選手の活躍がカギを握りそうだ。

○ JX-ENEOSサンフラワーズ (82-48 トヨタ自動車 アンテロープス)

 女王・JX-ENEOSに挑んだトヨタ自動車 アンテロープスだったが48-82の大差で敗れてしまった。それでも長岡萌映子は「勝てるチャンスはあったかなと、実際にプレーしていて感じていました」と振り返る。

「個人的には渡嘉敷 (来夢) 選手を守るところはできていたように思います。ただチームとしてのコミュニケーションミスというか、不用意なミスで点差を離されていった感覚があるんです。それがなければ、もっといいゲームができていたと思います」

 スポーツに「たられば」は禁物なのだが、そう言ってしまいたい気持ちが長岡にはあるわけだ。
トヨタ自動車は初戦でトヨタ紡織サンシャインラビッツと対戦した。今シーズンの W リーグで最も勢いに乗っているチームだ。トヨタ自動車としてはまず、そのトヨタ紡織を倒さなければならない。その準備に時間を割かれたため、JX-ENEOSへの対策はそこまで準備できていなかった。
「ぶっつけ本番でここまでできた……こんなに大差をつけられて『ここまでできた』なんて言ってはいけないと思うんですけど、それでも感覚的には思っていたよりもできたと思っています」
 今シーズン初対戦となったJX-ENEOSとの皇后杯・準決勝がトヨタ自動車にとって大きなステップになるかもしれない。

【天皇杯】
○ サンロッカーズ渋谷 (96-69 滋賀レイクスターズ)

「ファイナルラウンドで対戦してきたのは、B リーグでの成績が下位のチームです。ただ一昨日のレバンガ北海道も、今日の滋賀レイクスターズもリーグ戦で一度負けているので、僕たちにとってはリベンジというか、チャレンジとして臨みました。明日はどちらが勝ち上がってもリーグの上位チームですし、チャレンジというか、食ってやる、という気持ちで自分たちが持っているものを40分間出し続けたい」
 サンロッカーズ渋谷の広瀬健太は、明日の決勝戦に向けて、そう意気込む。

 前身の日立サンロッカーズ東京時代に天皇杯を獲得したことのある広瀬は「あのときは勢いがあったし、圧倒的な柱となる選手がいました。でも今のチームはベンチ入りしている全員でプレーしているところが違います」と、その差を語る。

「ただ、勝てるぞ……自分たちのやるべきことをやれば勝てるぞという流れは 5 年前と同じようにあると思います」
 ケガ明けでまだ本来の力強さを発揮できていない広瀬だが、チームで戦い、結果を出せていることに明らかな手応えを感じている。天皇杯を獲得する喜びと重みを知る彼がいることは、サンロッカーズ渋谷にとって大きな意味を持ちそうだ。

○ 川崎ブレイブサンダース (82-61 宇都宮ブレックス)

 もちろん優勝経験のある選手がいるからといって、それだけで勝てるほど天皇杯はたやすい大会ではない。
 川崎ブレイブサンダースに完敗した宇都宮ブレックスの比江島慎は、アイシンシーホース三河 (現・シーホース三河) に所属していた第91回大会で、天皇杯を獲得している。その比江島が今日のゲームをこう振り返る。
「川崎のほうがゴールに向かう意識も、一つひとつのインテンシティも上回っていました。僕らが守っても (川崎はシュートを) 打ちきって、それを決めてきたので、ディフェンスで流れをつかめませんでした」
 ディフェンスからチームの土台を築いてきたチームが、ディフェンスの強度で相手を下回ってしまった。ディフェンスだけではない。オフェンスも今シーズンの自分たちが積み上げてきたものを出せなかったと比江島は認める。

 いくつもの経験を重ねてきた彼は、こうも言っている。
「勝ちたいという気持ちが相手のほうが上回っていたんじゃないか……もちろん僕たちも勝ちたかった。でもそれがプレーに表れていたかというと、そうではなかったなと。そこがすべてです」
 技術も、戦術も、フィジカルも、そして経験さえも、すべては「勝ちたい」という気持ちの上に成り立つ。

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